乙女高原は、奥秩父山塊の南西部に位置し、2000年3月まではスキー場でした。スキー場が廃止されてからも、ボランティアたちの手で草刈りが続けられ、美しい草原が維持されています。
琴川ダムは2008年に完成しました。多目的ダムとしては、日本で最も高い位置にあります。乙女湖の奥に、五丈岩を戴く金峰山を望めます。
中央自動車道: 勝沼IC → 琴川ダム
地理院地図: 乙女高原
乙女高原の天気: 山梨県山梨市 , 甲府市
9月24日、山の友たちと大弛峠から奥秩父の国師ヶ岳と北奥千丈ヶ岳に登る計画を立てました。素晴らしくよく晴れた朝、大弛峠に向かって林道川上牧丘線を北上して行ったのですが、柳平から少し登ったところでゲートが閉じていました。先週日本列島を襲った「台風15号による豪雨により法面の崩落、路肩決壊等が生じた」ために通行禁止になったとのことです。迂闊にも出発前に規制情報を調べておかなかった、私たちのミスでした。
閉じたゲートから大弛峠までは、約12km。ゲートの手前に何台かの車が停めてあったのを見ると、歩いてゲートを越えて行った人々もいるようです。でも、未就学児を含む私たちのパーティーにとって、予定外に往復24kmの林道歩きを追加するのは、きつ過ぎます。相談の結果、行く先を変更してUターン。林道を下る途中、きれいな公園のような琴川ダムに立ち寄りました。
琴川ダムは、平成20年に完成したばかりの、多目的ダム。乙女湖の奥まった先に、五丈岩を戴く金峰山がくっきりと望めます。この8月、その下飛び込んで雷雨を凌いだ、思い出深い五丈岩。きょうは深い青空の中、にこやかに微笑んでいるようです。
駐車場はダムの左岸ですが、右岸に展望台があります。大きなコンクリートダムの天端を歩いて対岸に渡り、230mの階段を昇ります。展望台からは、オリーブ色の乙女湖を前景に、金峰山から鉄山(くろがねやま)、朝日岳、遠見山を経て鳥尾根に続く、雄大な稜線が望めました。国師ヶ岳は確認できませんでしたが、北奥千丈岳(と思われる峰)の頭はわずかに見えました。この展望台で、青く澄み切った空と金峰山を背にして、記念撮影。
駐車場に戻ります。管理棟でトイレを借りつつ、管理人の方から助言を得て、行く先を再変更。乙女高原に向かいます。琴川ダムから大して遠くないので、すぐに着いてしまいました。
乙女高原の駐車場には、天体望遠鏡や双眼鏡を設置して天体観測をしている人々がいました。テント、椅子、テーブル、食べ物、飲み物なども並べて、何だか楽しそうです。私たちにも望遠鏡を覗かせてくれました。太陽の顔にぽつぽつと、ほくろのような大小の黒点が見えます。双眼鏡を覗くと、太陽の周囲に燃え上がる真っ赤な炎。おお、これがお日様の素顔か! じっと見ていると、自分もその世界にハマりそうな気分になってきました。夜は月や星を見るそうです。
ところで、かつてスキー場だった乙女高原は、一面ススキの海でした。白い肌のダケカンバに混じって、針葉樹も見られます。ロープに沿った遊歩道は、ところどころに、さらさらと水が流れていました。ススキに紛れるように、ヤマラッキョウ、ノハラアザミ、タムラソウなどが咲いています。
丘の上に富士山の絶景ポイントがあると聞いていたので、行ってみました。案内板に「富士見百景」と記された地点です。行ってみると、南面の樹木が切れ、ススキ原の向こうに富士山がすっくと立っていました。撮影すると淡いシルエットにしか写らないのですが、肉眼で見れば十分に美しい姿です。裾野は雲に覆われて見えませんでした。
丘の最上部には三角点がありました。後に案内板を見て、ここは「ヨモギ頭」というピークだということを知ります。ここで一同輪になって、今月初めに18歳の若さで急逝した山の友のために黙祷を捧げました。白い樹皮と緑の葉の鮮やかなダケカンバが、大きく枝を伸ばして、涼しい木陰を作っています。
帰路は「ほったらかし温泉」に立ち寄り、各人思いのままに「あっちの湯」と「こっちの湯」に浸かってくつろぎました。
Alt + < = 戻る。 Alt + > = 進む。 Internet Explorer では、最後に Enter を押してください。 了解