2015年は春が短く、夏が2ヶ月も前倒しでやって来たような思いがします。山の花も例年より早く咲き始め、早く終る傾向が見られます。
地理院地図: 高尾山
高尾山の天気: 八王子市 , 高尾山
梅雨入りも間近になった6月2日、小さなリュックを背負い、スニーカーを履いて、高尾山の花を探して歩きました。先回の花探しから11日経っています。久々に歩いた1号路と薬王院では、ユキノシタの花がまだきれいに咲いていました。小さな人気者のウメガサソウは、あとわずかで開花すると思います。イチヤクソウやクモキリソウなども、それに続くでしょう。相変らず盗掘跡と思われる穴ボコも見られたのは残念でした。
今回は、JR片倉駅から京王片倉駅まで歩いてみました。片倉城跡公園に行くときの駅です。駅前ロータリーを出て行くと、舗道のマンホール蓋が新しくなっていました。カラフルな花の絵と、片倉城跡公園までの距離がデザインされています。「八王子湧水めぐり」と書かれているので、シリーズものかと思ってネット検索すると、あじさいやカワセミを描いたものもありました。今後、高尾山口駅に行くときは、ここを歩きたくなりそうです。
長らく無粋だった高尾山口駅の外装がきれいになって、東京の高尾山口駅から世界の高尾山口駅になったような気がします。切符売り場の横にあった、大きな赤い天狗の面は、まだ飾られていませんでした。世界中からやって来る人々の中には、天狗の長い鼻を淫靡なもののように思う人もいるとのこと。説明板を置くとか、何かするのでしょうか?
1号路に入ると、ユキノシタが終盤ながら、まだきれいに咲いていました。赤いスポットの入った花が多く、見つめるたびにすてきなデザインだと思います。金毘羅台からの道を合わせるところのガクアジサイは、まだブロッコリーのように花芽が小さく固まっていました。これが梅雨に入ると、見る見る大きくなって、彩り豊かな花が咲きます。イチヤクソウを見つけましたが、誰も気付かずに通り過ぎて行くのが、イチヤクソウらしくていいと思いました。
十一丁目茶屋から2号路に進み、浄心門から再び1号路を歩きました。女坂を歩いていると、レンジャーのような女性が木の葉を拾い上げ、ムササビが食べた痕ですと、説明していました。こういう人に付いて歩けば、たちまち物知りになれそうです。薬王院から富士道に進んで行くと、道端に「盗掘の情報お寄せください」と書かれた札が立っていました。「平成26年5月16日に、この付近でエビネが盗掘されました。」と書かれています。どうしたら有効な予防策が取れるでしょうか?
5号路に入ると北回りに歩き、続いてもみじ台の北面の巻き道を歩きました。このあたりを歩く人は、植物に関心を持っているようです。ロープの内側に、シモバシラが自生し、「踏まないように」との注意書きがありました。花は初秋から晩秋にかけて咲き、その後で氷の花が初冬に咲きます。ナルコユリの群生地では、みずみずしい花がたくさんぶら下がっていました。南面の巻き道を歩けば、ヤマユリが同じような葉と茎を展ばしていることでしょう。
学習の歩道に進むと、白いウツギの花に蝶が群がっていました。また白い蛾が、キャベツ畑のモンシロチョウのようにたくさん飛び交っていましたが、種を確認することはできませんでした。歩きながら、やや酸っぱいモミジイチゴと、甘みの増したクサイチゴの実を、いくつもつまみ食いしました。薬草の原料になるというヘビイチゴは食べる気がしませんが、実をつまんでも外れません。
11日前に見たイナモリソウの小さなつぼみは、すでに花が終っていました。咲いている小群落もありましたが、花期は日当たりや標高よりも、群落の遺伝子に関係があるように思います。防火帯で出会った熟年男性が、撮影したばかりのワニグチソウの写真を見せてくれました。私も探しましたが、盛りを過ぎた私のような花しか見つかりませんでした。一丁平から高尾山に引き返します。
岐路は、5号路を南回りで歩きました。ホトトギスの声が「トッキョキョカショー(特許許可証)」と聞こえます。後から追いついて来た男性から、アサギマダラを見なかったかと尋ねられました。「1頭だけですが、見ました」と答えると、5月に一丁平に咲いていたホオノキの花がとても美しかったとのこと。きょうの収穫は、すばらしいヤマボウシだと喜んで話していたので、「あれは植栽なのでは?」とは言えませんでした。たまたま咲いていたイナモリソウの花を教えてあげると、「可愛いですね」と喜ばれました。
最後は、6号路を下ります。イナモリソウはまだ咲いていましたが、ホシザキイナモリソウは、花の終ったものしか見つかりませんでした。杉の木のセッコクは、早くも終わってしまいそう。琵琶滝にイワタバコの葉を見に行ったら、きれいなサイハイランががありました。時刻はすでに午後5時。薄暗がりの中で手持ち望遠撮影をしたので、ボツ写真を量産しました。
()内は、この日私が歩いた範囲で受けた印象です。
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